上関原発計画に関する経緯


◎上関原発計画をめぐる経緯

1982.6 上関原発建設計画浮上
1983.4.24 上関町長選挙で推進派の片山秀行氏が初当選
   (その後5期20年、町長を務める)
1985.5 中国電力が、四代田ノ浦を「原発立地の適地」と上関町に報告
1988.9 上関町より中国電力に原発誘致を正式に申し入れ
1994.12 中国電力が立地環境調査を開始 (〜1996.2)
1996.11 中国電力が、上関町に原発立地の申し入れ
1998.9 中国電力が、原発予定地の用地買収を始める
1999.4 中国電力が、環境リポートを提出
(この調査書のずさんさが指摘され、山口県、県技術審査会、環境庁、通産省などから追加調査を要請され、2年2ヵ月後の2001年6月再提出、同7月国が承認)
2000.4.26 第107号共同漁業権管理委員会が、関係8漁協で中国電力と漁業補償契約締結、祝島漁協は提訴
2000.5.15 中国電力が、漁業補償金総額125億5千万円の半額を支払うが、祝島漁協は受取拒否し供託
2000.6.13 祝島漁協が漁業補償契約をめぐって、補償契約を結んだ中国電力と第107号共同漁業権管理委員会、四代漁協、上関漁協を相手取って提訴
2000.10.31 通産省が上関町で第1回公開ヒアリングを開催
2000.12.10 上関原発予定地にある神社の宮司が、県神社庁と話し合いを行い、初めて正式に神社地売却を拒否
2001.1.29 中国電力が国に提出した環境影響評価準備書の追加調査中間報告を県が了承
2001.4.23 経済産業省より、突如山口県知事に上関原発についての意見照会、二井県知事は6項目21分野の条件付で同意 →知事意見全文
2001.5.16 上関原発が、総合資源エネルギー調査会電源開発分科会で了承
   (6月11日官報に掲載)
2001.6.15 中国電力が環境リポートを再提出
2001.7.6 経済産業省の環境顧問審査会は、原子力部会で、中国電力の上関原子力発電所建設計画の環境影響評価書を承認
2003.3 神社本庁が四代正八幡宮の林春彦宮司を解任
2004.10 新任の宮成宮司と役員会が、四代正八幡宮の神社地を中国電力に売却
2005.4 中国電力が、予定地詳細調査を開始
   (2年間の予定が2009年1月まで続いた)
2008.3.27 中国電力、上関原発の7度目となる着工延期を発表
2008.4.14 共有地裁判で、最高裁が二審を支持し住民側の上告を棄却
2008.6.17 中国電力が、山口県に原発建設予定地の埋め立て許可を申請
2008.8.25 中国電力が、山口県に林地開発許可と保安林の指定解除を申請
2008.10.20 祝島の漁業者74人が山口県に対して埋め立て許可を出さないように提訴
2008.10.22 山口県が中国電力に公有水面埋め立て免許を交付
2008.11.4 業補償契約訴訟で反対派の祝島漁業者側の敗訴確定
2008.11.12 山口県が政府要望で上関原発関連を初めて盛り込む
2008.11.13 中国電力の調査により、上関原発予定地近くの海底で新たな断層を発見
2008.11.20 祝島漁民、原発の補償金約5億円の受け取りを拒否
2008.12.2 祝島漁民による埋め立て取消訴訟の初弁論
2008.12.2 「長島の自然を守る会」が、上関原発予定地周辺に生息する動植物6種と、同会会員、祝島島民、周辺住民111人が原告となり「自然の権利」訴訟を起こす
2008.12.11 上関原発予定地内の神社地訴訟の控訴審始まる
2008.12.12 7つの市民団体が上関原発計画撤回を求め中国電力に申し入れ
2008.12.24 山口県が上関原発予定地の林地開発を許可
2008.12.24 中国電力、断層の影響で詳細調査を1月まで延長
2009.1.26 田ノ浦遺跡の再調査を開始
2009.1.26 中国電力は上関原発に係る詳細調査が終了したことを発表
2009.3.9 中国電力は、3月中の原子炉設置許可申請は厳しく、6月までは埋め立て工事に着手しないことを発表
2009.3.17 中国電力は、県に上関原発予定地の保安林作業許可を申請
2009.3.27 虚偽の宮司退職願訴訟において 、山口地裁は原告の請求を棄却
2009.3.27 中国電力が、上関原発2号機の着工と運転開始を2年ずつ遅らせることを発表 (2号機に関しては5度目の延期)
2009.4.6 県が、中国電力に対して上関原発予定地の保安林作業を許可
2009.4.8 中国電力は、上関原発予定地の敷地造成工事に着手
2009.4.22 「上関原発中止を求める署名」5団体の呼び掛けにより100万人をめざして開始
2009.4.23 「神社地訴訟」の控訴、結審
2009.5.18 原発建設予定地への反対派の監視小屋(団結小屋)建設の禁止を求め、中国電力が反対派住民を提訴
2009.6.16 活断層の追加調査のため、中国電力は、埋め立て着工を7月から2ヵ月延期することを発表
2009.6.25 「神社地訴訟」広島高裁にて入会権(いりあいけん)の審理差し戻し
2009.6 原発建設予定地・田ノ浦の山林伐採を本格的に開始
2009.7 「神社地訴訟」で、反対派住民側、中国電力側双方が最高裁に上告受理申し立て
2009.8.19 「自然の権利訴訟」の初公判で、県は、これを棄却
 <平成20年(行ウ)20号 公有水面埋立免許処分差止請求事件>
2009.9.3 中国電力が、「原発の影響は少ない」と、カンムリウミスズメの生息調査結果を発表
2009.9.10 中国電力が、埋め立て工事に着手しようとするが、埋め立て区域を示すためのブイ9基を仮置きしている平生町・田名埠頭で反対派の阻止活動により、工事台船は接岸できず、着手ならず
2009.10.2 「上関原発中止を求める署名」612,613筆を国へ提出
2009.10.7 中国電力が、田名埠頭に仮置きしている9基のブイではなく、島根原発から運んだ2基のブイを原発建設予定地の海に設置
 「埋め立て工事開始」を発表し、県がこれを受理
2009.10.16 中国電力が、田名埠頭での阻止活動を行った反対派39人に対し、山口地裁岩国支所に仮処分申請を10月9日提出していたことを発表
2009.10.29 中国電力が、台船7隻を使い、残りの7基のブイを原発建設予定地・田ノ浦海域に一気に設置  (設置作業は、夜明け前から行われたにもかかわらず、中国電力は「夜明けと同時に作業を始めた」との偽りの記者会見をした)
2009.11.4 中国電力が、田ノ浦にて埋め立て作業を開始
2009.11.8 田ノ浦での阻止活動中、今回の阻止行動において、初めて負傷者が出た
2009.12.6 田ノ浦から中国電力の工事台船が撤退
2009.12.9 上関原発・炉心建設予定地の250m先に監視小屋が完成し、監視小屋と祝島とでお祝の餅まきが行われた
2009.12.15 中国電力は、反対派による妨害で敷地造成工事が遅れて損害が 出たとして祝島の住民2人とシーカヤッカー2人を相手取って約4800万円の損害賠償を求める訴訟を山口地裁岩国支部に起こした
2009.12.18 中国電力は、上関原発建設計画において、原子力発電所1号機の原子炉設置許可申請を経済産業省に提出
2009.12.18 中国電力は、上関原発建設計画において、原子力発電所1号機は2012年6月着工、2018年3月の運転開始と2年の延期、原子力発電所2号機の計画も、2017年度着工、2022年度に運転開始と2年の延期と、1994年以降8回目となる延期を経済産業省に届け出た
2010.1.18 反対派による抗議活動の禁止を求める中国電力の仮処分申請について、山口地裁岩国支部は、中国電力の主張を認め、海の埋め立て工事が完了するまで妨害行為を禁止する決定をした
2010.2.14 中国電力の上関原子力発電所建設計画を最大の争点とした上関町議選(定数12)は、2月14日に投開票され、1982年の原発計画浮上後7回目の町議選では、推進派が9名、反対派が3名、選出された
2010.3.16 中国電力株式会社上関原子力発電所原子炉設置許可申請に係る意見聴取会AB合同グループ第1回(原子力発電安全審査課)が、東京・霞が関 経済産業省別館10Fにて開催
2010.3.23〜25 中国電力は、原子炉設置許可申請に関する説明会を祝島で開こうとしたが、住民の抗議活動、3日連続の阻止活動により島に上陸できず
2010.4.15〜16 中国電力は、15日140人、16日120人体制で社員や警備員、作業員を建設予定地の海岸に動員して仮桟橋を囲む安全柵の設置を試みたが、反対活動をする約70人が現地で抗議を続け、取り付けは阻止された
2010.4.28 中国電力は、原子炉設置許可申請に関する島内説明会開催を島外の同社施設(上関町)で開き、住民約20人が参加した
2010.5.10 上関原発建設計画に反対する祝島住民ら約50人が、全国から集めた「原発建設計画中止!」を求める238,875人分の署名を経済産業省に追加提出
署名提出は昨年10月(612,613筆)に続き2回目で、合わせて851,488筆となった
2010.5.31
上関原発計画の原子炉設置許可申請に関する初の現地調査のため、経済産業省原子力安全保安院が建設予定地・田ノ浦を視察した
2010.7.29 原子力安全保安院は、上関原子力発電所について、耐震性を確かめるための事前地質調査が不十分だとして、中国電力に対し、異例の追加の調査を行うよう指示をする方針を決定、「耐震性の重要性について中国電力の認識が甘いので異例の対応を決めた」と発表した
これを受け、同日より中国電力は追加調査を開始した
2011.2.21  中国電力が中断していた埋め立て工事を1年3か月ぶりに再開。田ノ浦に数百人規模の作業員・警備員を動員しての深夜の強硬作業で、反対派住民と激しい攻防がはじまった 
2011.2.23  田ノ浦で抗議活動をしていた住民2名が作業員の下敷きになって負傷する事故が発生。これにより中国電力が作業を一時中断した 
2011.3.11  東日本大震災で福島第一原発の事故が発生。
2011.3.15  福島第一原発の事故を受けて山口県知事が中国電力に対して慎重な対応を求め、埋め立て作業が中断された。しかし、原子力安全保安院から求められていた追加調査は、この後、調査が終了するまで数か月間続けられた。 
2011.6.26  県議会で二井知事は、「現段階では、国の原子力政策や原発の具体的な安全対策が示されず不透明な状況にあり、新たな手続きに入ることはできない」と述べた。 
2012.10.5  埋め立て免許の期限が切れる直前に、中国電力は免許の3年間延長申請を提出した
2012.10.23 山口県が中国電力に対して延長申請の補足説明を要求
(以降、2015年6月まで7度の補足説明要求)
2014.5.24 県道光-上関線を町道に格下げして中電の寄付で拡張工事始まる
2015.5.18 中国電力は、埋立免許延長申請を2年8か月延長し2018年6月までとすることを県に申請した
2015.6.22  山口県は、埋立免許延長の判断を1年先とし7回目の判断先送りとした
2016.6.22 中国電力は、埋立免許延長申請を2019年7月までとすることを県に申請した
2016.7.29 公有水面埋立免許処分取消訴訟・自然の権利訴訟に係る裁判官現地視察 
2016.8.3 上関原発予定海域の埋立免許の延長を村岡山口県知事が認めた
2016.10.7 山口県議会は、上関原発を推進する意見書を自公の県議会議員で可決し国へ提出した



◎上関原発を巡る裁判の現状(2010年)

●漁業権・・・・一審で祝島漁民の許可漁業・自由漁業の権利を認めたが、二審では認めず原告敗訴、現在上告中

●神社地・・・・原発に反対していた四代八幡宮の林春彦宮司を解任させ、八幡宮所有の"神社地"を売却した問題で、反対地主が氏子の権利を主張して提訴
一審は棄却、高裁への訴訟準備中

●自然の権利訴訟・・・・上関町長島の自然環境の保全、原発施設による災害防止などを目的として、公有水面埋立法に基づく免許取消を求める訴訟自然及び自然と共に生きていきたいと思う人々が原告となり、自然のために裁判を起こす「自然の権利」訴訟

●田ノ浦での妨害行為をやめるよう求める仮処分申請・・・・田名埠頭で阻止活動を行った島民の会38人とシーカヤッカー1人に対し、中国電力が原発建設予定地である田ノ浦海域において埋め立て工事の妨害をしないようにと提訴

●田ノ浦での反対活動に対して中国電力が損害賠償を求める訴訟・・・・反対活動による妨害で、埋め立て作業ができず、敷地造成工事が遅れたため作業員の人件費、船や重機を手配する費用などに損害が出たとして、祝島の住民2人とシーカヤッカー2人を相手取って約4800万円の損害賠償を求めて提訴



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